Locals人と人のつながりが新たな発見を生み
世界中を竹で笑顔にする「長岡銘竹株式会社」 

京都府亀岡市保津町の川のほとりに、竹垣の専門店 長岡銘竹株式会社(以下、長岡銘竹)の工房があります。

向日市に本社を構え、大山崎町と亀岡市に工房を持つ長岡銘竹は、
高い技術力とこだわりの素材で、竹垣を中心とした自社製品を受注生産しています。
これまでにも、歴史ある寺社院仏閣の竹垣の製作・修復に携わってきました。

バブルがはじけた頃、人々の意識が価値から価格に変わったことで、会社は経営難に陥りました。さらに工房の焼失など多くの困難を抱えましたが、そんな中でも多くの人のつながりに支えられこれまで成長を続けてきた長岡銘竹。

そんな長岡銘竹の真下 彰宏(ましも あきひろ)さんにお話しをお伺いしました。

長岡銘竹株式会社真下 彰宏

https://www.harvestjourney.com/ja/spot/199/

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竹との運命の出会い

20年以上長岡銘竹の職人であり、広報・営業も担当されている真下さん。竹に関わることになったきっかけについて聞いてみました。

「高校卒業後、最初は陶芸をやりたくて、工芸大学のオープンキャンパスに行ったんです。そこでいろんな工芸コースがあったんですけど、なかでも竹がめっちゃかっこよくて、おもしろく見えたんです。どうしてその時、そんなに竹に魅かれたのかは、未だに分からないんですけどね」

思わずその場で、『俺、竹工芸やりますわ!』と大学関係者に断言してしまうほど「竹」に魅了された真下さん。

断言した通り、京都府南丹市にある京都伝統工芸大学校で2年間竹工芸を学ばれました。それから今日にいたるまで、他の工芸には一切興味がわかず、竹工芸一筋だそうです。

そして、2年間竹工芸を学ぶ中で、花器や茶道具、竹垣などを制作する丸竹加工の魅力にどんどんはまっていったそう。

卒業後すぐに丸竹加工の先生が経営されていた長岡銘竹に就職。現在にいたるまで20年以上、長岡銘竹の竹工芸に携わり、会社に貢献し続けています。

竹垣の意外な使い道

長岡銘竹では庭や外壁などに用いる竹垣をはじめとして、竹箸、お猪口、徳利といった日本ならではのものから、アロマディフューザーなどの、現代的なものまでさまざまな商品を開発しています。

長岡銘竹が専門とされている竹垣は、旅館やお寺などの日本庭園にあるイメージが強いですが、意外と一般の家庭からの注文が多いと言います。

「一般家庭のガスメーターとか洗濯物とか、あまり外から見られたくないものを、竹垣を使うことで目隠しできるんですよね。そういった使い方に気づいてもらえると、多くの人に欲しいと思ってもらえるんじゃないかな」

たしかに、そうして自然素材でできた竹垣を活用したお家が増えると、景観も良く、環境にも優しい町ができるかもしれませんね。

真下さんは一般家庭にも竹垣を気軽に使ってもらえるように、竹垣の魅力をより多くの方に発信しています。

SNSでの発信が、思わぬ気づきに

真下さんはSNSも積極的に活用し、竹工芸をプロモーションしています。

「先日の仕事で犬矢来(いぬやらい)という種類の竹垣をやったんですよ。それをSNSにアップしたら、メッセージくれた人がいたんです。その方は、ベランダの柵を乗り越えて子どもが転落死する事故を防ぐために、犬矢来はどうだろうと相談してくれました」

 子どもの転落死を防ぐために取り組んでいる団体からの連絡でした。

「犬矢来を使うことで子どもの手が柵に届かないので、安全防止につながるということに気づかされました。景観にもいいですしね。SNSを使うことで、こうやってつながっていくんだなって感じましたね」

こういった1つ1つの情報発信の積み重ねが、どんどん新たな仕事を生むのだとか。
新しい時代の竹垣の新たな可能性を感じたエピソードでした。

 

竹のQRコードづくり

「仕事でお世話になる森の京都DMOの小林さんからアイデアをもらって竹のQRコードを作ったんです。竹で作ったアナログなものが、スマホで読み取ったらデジタルなウェブサイトに飛んでいくって、ストーリー的にも面白いですよね」

しかし最初の竹編みではすき間が広くてうまく読み取れなかったそうです。試行錯誤の結果、読み取れた時はとても感動したそう。

商品に付加価値をつけるということ

ただ販売するのではなく、しっかりと「付加価値」をつけて販売することに決めた真下さん。
たくさんの仲間に相談したところ、SDGsを意識するようになりました。

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、2015年に国連サミットで採択された、全世界が共通して掲げる「持続可能な開発目標」のことです。貧困、教育、持続可能な消費と生産の確保など、2030年までに達成するために掲げた17の目標が存在します。

竹は朽ちれば土に還ります。その土からまた竹が育ち、生活に使われる。それが昔から続く暮らしの中の循環です。

そんな竹の性質はSDGsの取り組みにぴったりだと感じた真下さんは、SDGsに取り組む企業向けに販売することにしました。

「竹は環境に優しいですし、SDGsと深い関係にあるので、この竹のQRコードを企業さんが『SDGs』に貢献している証にしてもらえたらと思ったんです」

2019年にこの竹のQRコードがYahooニュースにも取り上げられ話題になると、和歌山県の複合型テーマパーク「アドベンチャーワールド」から注文の連絡が入ったそうです。

「アドベンチャーワールドでは、人気の動物・パンダが食べたあとの竹を有効活用していてグッズのカレンダーの素材にもなっていたりするんですよね」

このほかにも多方面でSDGsに取り組んでいるアドベンチャーワールドさん。企業として地球と一緒に歩んでいこうという姿勢が垣間見れます。

アドベンチャーワールドへ行かれた際は、ぜひこの竹のQRコードを探してみてくださいね!

世界中を竹で笑顔にする

そんな真下さんに今後の展望について聞いてみました。

「常々、”世界中を竹で笑顔にする”という目標を掲げています。方法は何でもよくって、竹垣でも小物でも竹を使ったイベントでも」

竹が持つ魅力や可能性を誰よりも分かっているからこそ、竹が人々の生活を明るくし、笑顔にできるという確信をもっている真下さん。

竹を身近に感じてもらう取り組みの一つに、竹小物づくり体験があります。

長岡銘竹の工房では”マイ竹箸”作り体験をすることができます。

マイ箸づくりでは
①かんなや、やすりを用いて、竹を削り自分好みの大きさにする

竹は先端を細くつくることができるため、ご飯一粒をつかむのがとっても楽になります。
そして何より軽いです。

②京銘竹の特徴を説明してもらったり、工房の中を見学することもできます。

真下さんの人柄を感じ、竹に触れることによって、あなたもきっと竹の魅力にとりつかれることでしょう。

ぜひ、長岡銘竹へ一度足を運んでみてはいかがでしょうか!?

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